20代の人がどれくらい貯金をしているか知っていますか?
社会人としてはまだ経験が浅い20代。貯金に回すお金がないと嘆いている人もいるでしょう。中には「貯金なんて気にしていない」という割り切りタイプもいるかもしれませんね。
ここでは20代の貯金をテーマに、平均貯金額や貯金の使い道、貯金するためのポイントなどをわかりやすく紹介しています。他人には聞きにくい貯金の話。ぜひご覧ください!
目次
20代の貯金事情
さっそく、20代の人たちの貯金事情を見ていきましょう。
平均貯金額はいくら?
20代の人たちの平均貯金額、あなたはいくら位だと思いますか?
金融広報中央委員会の調査(平成27年 家計の金融行動に関する世論調査【単身世帯】)による20代の金融資産(預貯金だけでなく生命保険や株式、財形貯蓄などを含む資産)の平均値と中央値が以下。
20代の金融資産 | |
---|---|
平均値 | 379万円 |
中央値 | 180万円 |
※上記は金融資産を保有している人の平均値&中央値で、金融資産を保有していない人の数字は考慮されていません。
全ての数字を足し、それをデータ数で割った値。5人の貯金額がそれぞれ0円、30万円、50万円、60万円、200万円だった場合、平均値は68万円(全員の合計340万円÷5人で計算)。
数値を小さいほうから順番に並べたときの真ん中の値。5人の貯金額がそれぞれ0円、30万円、50万円、60万円、200万円だった場合、中央値は50万円。
しかしこの数字は「貯金額」ではなく、あくまでも「金融資産」の額。預貯金に加え、その他の資産も含まれます。
では預貯金だけで見ると20代の平均額はどれくらいになるかと言うと…274万円だそう(中央値のデータなし)。
ちなみにこの金額は、貯金をしているという人だけを集めて算出した平均額。貯金ゼロの人を含めると、平均貯金額は102万円と、金額がかなり小さくなります。
この数字が大きいと思うか、小さいと思うかは人それぞれ。あなたはどんな風に感じましたか?
どれくらいの人が貯金している?
では一体どれくらいの人が貯金をしているか?ということを考えてみたいと思います。
先ほどの金融広報中央委員会のデータによると、20代のうち「金融資産を持っていない」という人の割合はなんと62.6%。半分以上の人が貯金をしていないという事実。これにはちょっと驚きました。
ちなみに金融資産を保有している37.4%の人のうち、資産額が100万円未満の人が一番多く、割合は32.8%。100~200万円未満が17.6%、200~300万円未満が14.9%と、やはり金額が大きくなるにつれて割合は少なくなる傾向です。
ちなみに資産額1,000万円以上の人の割合は7.6%。貯金額ではなく、株式や生命保険などさまざまな資産が含まれる金額ではありますが…10%には届かないもののこれだけの人が20代で1,000万円を超える資産を所有しているんですね。
年収から見る貯金額の割合は?
ここで一度、20代の平均年収を見てみましょう。
年齢 | 男性 | 女性 | 男女平均 |
---|---|---|---|
20~24歳 | 275万円 | 241万円 | 258万円 |
25~29歳 | 383万円 | 309万円 | 351万円 |
これは国税庁のデータ(平成28年度分 民間給与実態統計調査)による数字。
20代全体の平均年収は304万円になりますね。
年収が高い人ほど貯金できるというイメージを持つかもしれませんが、そうとは限らないのが貯金の難しいところ。
結局のところ年収が高くても、それに比例してお金を使っていたら貯金に回すことができないのです。
大切なのは自分の収入からどうやって貯金をしていくか?これに尽きます。少額であっても毎月貯金を続けていたら、蓄えは確実に増えていきますからね。
貯金の使い道は?
20代の人たちはどんな目的で預貯金をしているのでしょうか?そこで20代の貯金の使い道を調べてみました。
DODAエージェントサービスのアンケートによると、20代の貯金の使い道で一番多かったのが「老後や将来のため」。男女ともに80%を占めています。
次いで多かったのが「急な出費への備え」。「欲しいものを買うため」という意見もありますが、それほど多くありません。
これを見ると、現代の20代はとても堅実であり、また老後への大きな不安を抱いている人が多いことがわかりますね。
「貯金あり」と「貯金ゼロ」の二極化について
20代で貯金をしている人の平均貯金額が274万円ということですが、一方で金融資産を持っていない20代が62.6%もいるわけです。
中には金融資産が1,000万円以上という人もいる一方、6割以上の人が預貯金を含む金融資産を全く持っていないというのが現実です。
20代でも計画的にしっかり貯金をしているという人と、貯金ゼロという人の二極化が進んでいるのが現状なんです。
20代に貯金ができない要因
20代は貯金が難しいといった声もたくさんあります。一方で結婚して子どもが出来るともっと貯金が難しくなるから、若いうちにしっかりと貯金をすべきという意見があるのも事実。
では一体20代の貯金の難しさは具体的にどんなところにあるのでしょうか。
年収が少ない
そもそも年収が少ないという要因があります。
特に20代前半の人の多くが社会人としては駆け出しです。そうなるとまだ十分な収入は得られません。
4年生大学卒業で初任給は20万円ほど。ここから雇用保険や所得税などが天引きされるので、手取りは数万円安くなる計算になります。その金額からどれだけ貯金できるかを考えなくてはなりませんね。
ただ少ない収入の中から、やりくりして月々貯金している人もちゃんといます。収入が少ないからという理由で預貯金を諦めるのは間違いです。
一人暮らしによる出費の増加
社会人デビューと同時に一人暮らしを始めたという人もいるでしょう。
実家暮らしであれば、お給料から家にいくらか入れるとしても、光熱費や食費はを全額負担することは少ないでしょうし、家賃の心配も基本的にはありません。
しかし一人暮らしとなると家賃、光熱費、食費ほか、あらゆるコストを自分で負担することになるので、貯金するお金が残らないといったケースもあるでしょう。
付き合いが多く断れない
20代は付き合いが多い世代です。
社会人になりたては同期社員や先輩社員と飲みに行ったり、学生時代の同級生と会ってみたり。断りたくても断れない誘いも出てくると思います。
人付き合いには出費がつきもの。毎月何度も飲み会が…というだけで、かなりのコストになるでしょう。
貯金しにくいさまざまな要因はありますが、それでも貯金をしている人がいるのですから、それを言い訳にしてばかりもいられませんよね。
ぜひお金の使い方を見直して、毎月少しでも貯金をしていきたいものです。貯金するための方法については本ページ後半で紹介しているので、ぜひそちらも目を通してみてください。
20代は月々いくら貯金したい?
多くの人は貯金が大切だということくらい、理解していると思います。
では20代の人の場合、月々いくらくらい貯金するのが理想なのでしょうか?
いろいろな意見がありますが、現実的な数字として以下を目安にしてみましょう。ちなみに「最低でもこれくらいは貯蓄に回したい」という数字なので、もちろんもっとたくさん貯金できるのが理想です。
手取り月収に対する貯蓄の割合 | |
---|---|
一人暮らし (独身) | 手取り月収の10% |
実家暮らし (独身) | 手取り月収の20~30% |
2人以上の一般世帯 (子どもなし) | 手取り月収の20% |
2人以上の一般世帯 (子どもあり) | 手取り月収の10% |
※2人以上の一般世帯=住居および生計を共にする2人以上の集まり
尚、2人以上の一般世帯の「子どもあり」というのは、基本的に小さい子ども(乳幼児)がいる場合を想定しています。
以下に詳しい説明をまとめたので、ぜひ併せてご覧ください。
一人暮らしの場合
一人暮らし(独身)の人は、どうしても家賃や光熱費など必要な出費が大きくなるので、毎月たくさんの貯金をすることは難しいと思います。
それでも手取り月収の10%は預貯金に回したいところ。手取り月収が18万円なら、1.8万円、20万円なら2万円ですね。月々の貯金額は少ないものの、1年で考えるとある程度の貯金ができます。
手取り月収 | 1ヶ月の貯金額 | 1年で貯まる貯金 |
---|---|---|
18万円 | 1.8万円 | 21.6万円 |
20万円 | 2万円 | 24万円 |
23万円 | 2.3万円 | 27.6万円 |
ただ社会人になりたての頃や一人暮らしを始めたばかりの頃は、試用期間で手取り月収が少なかったり、身の回りのものを揃えるのに出費がかさんだりと、思うように貯金できないこともあるでしょう。そういった場合も手取り月収の5%を目標に頑張ってみてください。
2人以上の一般世帯
ここで言う2人以上の一般世帯というのは、同棲中のカップルや夫婦のことですが、こういった人たちは子どもがいるかどうかで、手取り月収に対する貯金額の割合が変わってきます。
子どもがいない場合はかなり貯金がしやすいので、ぜひ手取り月収の20%を預貯金に回しましょう。もちろんこれは各世帯の合計月収の20%という意味ですから、夫婦それぞれ20万円ずつ手取り月収があるとしたら、少なくとも8万円は貯金するという計算になります。
一方、子どもがいると貯金がしにくくなってきます。乳児を育てている場合、産休で月収が減ったり、また出産育児のために退職する人もいるでしょう。
さらに、子どもが大きくなるにつれて教育費用が大きくなってくるので、それはそれで貯金に回せるお金が少なくなります。子どもが小さいうちはなんとか手取り月収の10%を貯金できると良いですね。
実家暮らしの場合
実家暮らしの場合は、最低でも手取り月収の20%、できることなら30~40%の貯金を目指しましょう。
どれくらい実家にお金を入れているかにもよりますが、やはり実家暮らしは貯金しやすい傾向にあるので、「今が貯め時」という強い意識をもって、毎月しっかりと貯蓄することをおすすすめします。
老後にかかるお金を確認!必要な貯金額は?
現代の20代の人のうち、老後や将来のために貯金をしているという人が最も多いわけですが、老後はどれくらいのお金がかかるのでしょうか?
生命保険文化センターの報告(平成28年度 生活保障に関する調査)によると、老後に夫婦2人で最低限の生活を送るのに必要な平均額は月22万円だそう。
もちろんこれは平均額なので、月15万円未満で生活している人も、月30万円以上で生活している人もいるわけですが、この金額を見てどう思いますか?
当然ながら、この全てを預貯金でまかなうというわけではなく、老齢年金やその他の資産も使ってカバーしていくことになりますが、それでも老後の年数を考えるとかなりの金額になってきます。
いろいろな意見がありますが、専門家の見解だとだいたい老後のために2,000~4,000万円の蓄えが必要ということですから、そこのところは頭に入れておきたいですね。
ちなみに同報告によると、ゆとりのある生活を送るためには、平均で毎月34.9万円が必要になるそうです。
20代で貯金習慣を身につけるメリット
20代はまだ年収が少ない場合が多いのですが、一方でお金は自由に使えますし、さらに身体も健康ですから、あまり貯金に意識が向かないという人もいるでしょう。
しかし20代で預貯金の習慣を身につけるのは、大きなメリットがあるのです。
自分が得た収入の中でどうやってお金を貯めていくか?日常的に節約の意識を持ち、お金をやりくりするというのは、将来的に非常に役立つスキルになります。
独身時代は好き勝手に使うことができたお金も、家族が増えることで思うように使えなくなってきます。教育資金、住宅ローン、保険関係などさまざまなところでお金が出ていくので、計画的にお金を使う必要性が出てきます。
このお金をやりくりするスキルを、30代、40代と年齢が進んでから身につけるのは簡単ではありません。
また結婚や出産にも当然お金がかかるので、いざ人生の節目を迎えたときに、まとまったお金がないということだと、自分自身が苦しむことになるでしょう。
20代で貯金をするための7ポイント
「今まで一切貯金をしてこなかった!」という人が多い20代。そんな人は、ぜひここでご紹介する7つのポイントをご覧ください。貯金するためのポイントや意識したいことをまとめています。
ご紹介するポイントは基本的にすぐ実行できるものばかり。できることから始めませんか?
もちろん既に預貯金をしているという人も、ぜひ確認してみてくださいね!
家計簿をつける
貯金をするための第一歩と言えるのが「家計簿」です。
家計簿をつけることで、毎月のお金の収支が把握できますし、それによってムダ遣いが発見できます。
最初は面倒に思うかもしれませんが、習慣化してしまえばそれほど苦にならないでしょう。
最近は家計簿アプリもたくさんリリースされているので、そういった便利なツールを使うのも良し。もちろん手書きの家計簿もOKです。
外食から自炊にシフトする
外食が多い人は、外食から自炊にシフトするだけでかなり節約なるので、ぜひチャレンジしてみてください。
外食の平均金額を1回1,000円と想定し、平日のランチを全て外食に、また土日の夕食も外食するとします。そうするとおおよそ毎月30,000円の外食費がかかることになりますね。
それを自炊にするだけで簡単に1/3~1/2の金額に抑えられることでしょう。
最近はお昼ご飯はお弁当という人も増えていますよね。料理が苦手だと最初は苦戦するかもしれませんが、慣れてしまえば大丈夫。これを機に料理をマスターするというのも悪くないと思います。
先取り貯金をする
貯金の仕方は人それぞれですが、おすすめは「先取り貯金」。
毎月余った金額を貯金するのではなく、収入から決まった額を最初に貯金してしまって、余ったお金で生活するという方法ですね。
人はつい目の前にお金があると「今月はいいか…」「今回は仕方ない…」と使ってしまうもの。ぜひ先取り貯金で毎月しっかりと貯金できるようにしましょう。
積み立て預金を活用する
郵便局や銀行など、各社いろいろな積み立て預貯金のプランを用意しています。ぜひそういったプランを賢く活用しましょう。
例えば給与の振込口座から、毎月決まった金額を積み立てるといったプランを活用すれば、自動的に貯蓄を増やすことができますね。
貯金用の口座を開設する
貯金専用の口座を開設するのもおすすめです。
この口座については基本的にお金を預け入れるだけ。引き出し禁止にしておけばいいのです。
給料日になったら、給料から3万円を貯金用の口座に預け入れる。こういった貯金用口座+先取り貯金の方法を取り入れている人は結構多いと思います。
クレジットカードの使い方を見直す
クレジットカードの使い方を見直すのもおすすめです。
クレジットカード便利なだけでなく、ポイント還元などがありメリットが大きいと思っている人も少なくないのですが、どうしても目の前のお金が減るわけではないので、多用しがちになってきます。
結果的に後払いのような感覚になるので、お金の管理がしにくくなる一面も。ですから20代の頃はクレジットカードを一切利用しないというのもひとつの手です。
またリボ払いは絶対にNG。キャッシング機能も不要なので、ぜひキャッシング枠を0円にしておきましょう。もちろんクレジットカード以外のキャッシングも、利用はおすすめできません。
安定的な収入が得られる仕事に就く
もし今の収入に不安があるのであれば、転職も視野に入れることをおすすめします。
20代は転職しやすい世代ですし、異業種へのキャリアチェンジも可能。20代前半なら第二新卒(新卒採用から期間が短い人)の枠で新卒採用と近い扱いをしてもらえる可能性も大きいので、非常にチャンスがあるのです。
求人を出している企業の中には、社内の育成体制が整っていて未経験を積極的に採用しているところもあるので、そういった企業であれば転職後も安心して働けることでしょう。
30代、40代になってからの転職は、どうしても能力重視になってきますし、実際に転職しにくくなってくるので、ぜひ今の仕事に不安があるなら20代のうちに転職を考えてみてはいかがでしょうか。
このページのまとめ
いかがでしたか?貯金があるということは、生活を送るうえでひとつの安心材料になるので、ぜひ前向きに取り組んでいただきたいと思います。
20代のうちは貯金額が大きいか?小さいか?ということより、しっかりやりくりして毎月少しでも貯金ができているか?ということに目を向けていただきたいと思います。
その貯金のスキルが将来役立つことは間違いありません。ぜひ本記事も参考にしつつ、コツコツ貯金してみてくださいね。