職業訓練のWEBデザインやプログラミングで就職できるケースは一握り

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このページでは、職業訓練のWEBデザインやプログラミングのコースをテーマに、受講内容や受講期間、受講の流れなどを紹介していきます。

受講する際に支給してもらえるかもしれない給付金や、知っておきたい落し穴についても触れているので、ぜひ最後までご覧ください!

職業訓練のWEBデザイン・プログラミングのコース

まずは職業訓練のWEBデザインやプログラミングのコースの内容について見ていきましょう。

まだまだ成長が期待できるITの業界。成長業界への転職に活かせるスキルだけに、IT関連のコースはとても人気です。

「公共職業訓練」と「求職者支援訓練」

一口に職業訓練(ハロートレーニング)と言っても、雇用保険の失業給付(失業保険)を受給している人のための「公共職業訓練」と、受給していない人のための「求職者支援訓練」とがあります。

いずれの職業訓練にもWEBデザインやプログラミングといったIT関連のスキルが学べるコースがいろいろとあるので、IT業界に興味があるという人は、検討してみても良いでしょう。

情報関係(IT系)のコースの受講料

一般的に「職業訓練」と聞くと、無料で受講できるというイメージがありますが、実は職業訓練には有料のコースもあるのです。

都道府県が運営する公共職業訓練

例えば東京都を例に見てみましょう。

東京都が運営している公共職業訓練(東京都職業能力開発センター)の2018年入校案内(PDF/17.6MB)を見ると、IT系(情報関係)の訓練が以下の3コース用意されていることがわかります。

東京都職業能力開発センターの情報系コース
  • OAシステム開発
  • ネットワークプログラミング
  • Web設計

このいずれのコース(科)も有料の職業訓練になります。

直接センターに問い合わせてみたところ、上記のコースはすべて1年のコースであり、1年以上のコースは基本的に有料になるとのこと。

受講料は年額11万8,800円(前期・後期の2回に分けて納める)。今後改定する可能性もあるでしょうが、年額とはいえある程度のコストがかかります。

この金額に驚いた人がいるかもしれませんが、実際IT系のスクールに通うとなると、30~50万円の費用がかかることもあるので、それを考えたらかなり良心的だと思います。

民間委託の公共職業訓練

公共職業訓練には民間企業に委託して開講しているものもあり、IT関連の訓練も数は限られるものの、いくつか存在します。しかし民間委託の訓練は、訓練校の質に左右されるところが大きく、就職率にも影響が出てきます。

民間委託の訓練を受ける際は、その会社の就職率をよく確認しましょう。HPがなかったり就職率が掲載されていないときは要注意かもしれません。また会社の母体がWEBデザインやプログラミングのスクールかどうかという点も見極めの材料になるでしょう。ちなみに民間委託の公共職業訓練は2~6ヶ月の訓練が多く、そのうち1ヶ月程度、企業等で実習を行う場合もあります。

民間委託の職業訓練は教科書代の負担はあるものの、受講料は無料です。

求職者支援訓練

では雇用保険の失業給付(失業保険)をもらっていない人が受ける求職者支援訓練はどうなのでしょうか?求職者支援訓練のコースを見ると、WEBデザイナーやプログラミングのコース(科)はいくつか開講しています。こちらも教科書代だけの負担で、受講料は無料

民間委託の公共職業訓練も求職者支援訓練も残念ながら毎月開講しているわけではないので、タイミングによっては希望するコースが見つからないこともあるでしょう。

ちなみに教科書代についてはコースによって異なりますが、だいたい8,000~15,000円の場合が多いようですね。

情報関係(IT系)訓練の内容

WEBデザイナーやプログラマーを目指す訓練ではどんなことを学ぶのでしょうか?

まずは先ほどの東京都が運営している公共職業訓練のコースを例に見て行きましょう。

OAシステム開発
期間1年
概要ソフトウェア(プログラム)を作る訓練。ビジネス用プログラムの作成、サーバーインストールや環境設定、コンピュータネットワークの構築・設定・運用管理など。
教科一例・情報処理システム操作基本実習
・プログラミング言語
・OAシステム開発実習
・コンピュータネットワーク設定
・プログラミング実習
取得資格技能士補
主な就職先情報サービス業、ハードウェア販売会社、ソフトウェア販売会社
職種例プログラマー、システムエンジニア、ネットワークエンジニア、システム運用・保守・管理
ネットワークプログラミング
期間1年
概要ネットショッピングなど、ネットワークを利用しコンピュータを便利に使う仕組みを学ぶ。ネットワークへの理解が深まるよう、ネットワーク構築についても触れ、ネットワークエンジニア業務も習得する。
教科一例・ソフトウエア工学
・ネットワークプログラミング
・プログラミング実習
・ネットワーク構築基礎
・コンピュータ運用管理実習
取得資格技能士補
主な就職先システム開発会社、インフラ構築・運用会社、情報処理サービス会社
職種例プログラマー、システムエンジニア、ネットワークエンジニア、ITヘルプデスク
Web設計
期間1年
概要インターネットを活用した販売サイトや業務システムにおいて重要な、操作性や簡易性の高いプログラムを作成する。インターネットやプログラミングの基礎だけでなく、デザインなどについても学ぶ。
教科一例・画像技術概論
・画像処理実習
・Webプログラミング開発
・Webサイト設計
・Webサイト制作
取得資格技能士補
主な就職先ソフトウェア開発・販売会社、インターネット関連会社
職種例Webプログラマー、HTMLコーダー、Webディレクター

先ほども触れましたが、上記3コースのいずれも有料の訓練で、年額11万8,800円が必要になります(改定される場合あり)。

今度は東京都で過去に開講していた民間委託の公共職業訓練「Webデザイン&プログラミング実践科」の受講内容です。

Web デザイン&プログラミング実践科
期間4ヶ月
概要WEB作成のノウハウ、デザインの基本的な知識を身につける。実際にWEBサイトを制作し、基礎習得とスキルアップを目指す。
教科一例・WEBシステム概論
・ページコーディング実習
・画像作成ソフト実習
・WEBサイト作成実習
・データベースプログラミング実習
受験できる関連資格PHP技術者認定初級試験
ウェブデザイン技能検定
JavaScript Specialist
主な就職先WEBサイト制作会社、インターネット関連会社、一般企業
職種例WEBデザイナー、WEBプログラマー、HTMLコーダー

こちらは4ヶ月程度の短い訓練で、受講料は無料。教科書代が15,000円かかりますが、低コストで受講できます。

上記は一例なので、当然選ぶコースによって教科なども異なってきます。ハローワークに行くと詳しく紹介してくれるので、ぜひ足を運んでみてくださいね。

情報関係(IT系)訓練の期間

東京都の例だと、都が運営する公共職業訓練の情報関連(IT系)のコースは、1年間の受講期間になります。

対して民間委託の公共職業訓練や求職者支援訓練については、ほとんどが4~6ヶ月の期間になります。

座学だけでなく実習が行われることも多いので、そのあたりもハローワークで詳しく聞いたり、説明会に参加して確認しておくことをおすすめします。

情報関係(IT系)訓練の受講の流れ

いずれのWEBデザインやプログラミングのコース(科)を受講する場合も、まずはハローワークに相談に行くところがスタートになります。

職業訓練はハローワーク経由でなければ受講することができません

地域によって、またタイミングによって受講できるコースもまちまちなので、WEBデザインやプログラミングの職業訓練を検討しはじめたらまずはハローワークで話を聞きましょう。

未経験のジャンルとなれば、当然どのコースが自分に最適なのかわからない場合もあるでしょう。そんなときもハローワークの担当者が相談に乗ってくれます。

受講したいコースが見つかったら、あとはハローワーク窓口で受講申し込みをし、訓練校で行われる選考(面接や筆記試験など)を受け、合格したら手続きをするだけ。もちろん面接の内容や試験の結果によっては落ちることもあるので、対策を取る必要があります。

ちなみにWEBデザインやプログラミングのコースの選考は、10分程度の面接と高校卒業程度の学力検査が行われることが多いようです(コースによって異なる可能性あり)。

職業訓練校では見学会や説明会が開催されているので、選考前に参加しておくといいでしょう。見学会や説明会に行かなければ落とされてしまうといったことはありませんが、受講中のイメージがしやすいですし、何より「思っていたのと違った」という相違を防ぐことに繋がります。

受講後に就ける仕事

当然、WEBデザインやプログラミングの職業訓練受講をIT業界への転職に繋げたいと思っている人がほとんどです。

実際、就職先として多いのはハードウェアやソフトウェアの開発・販売会社や、システム開発会社、インフラ構築・運用会社、情報処理サービス会社、インターネット関連会社など。

またWEBデザイナーであれば一般企業で働ける可能性もゼロではありませんが、特に一般企業は経験者を採用するので、未経験→職業訓練→一般企業に採用、という流れはほぼ無いと思っていいと思います。

職種としてはWEBデザイナーやプログラマー、WEBディレクター、システムエンジニア、ネットワークエンジニア(ITエンジニア)。またIT業界のヘルプデスク(IT事務)といった仕事に就く人もいます。

WEBデザイン・プログラミングの職業訓練の給付金

WEBデザインやプログラミングのコース(科)を受講したいと考えている人のうち、雇用保険の失業給付(失業保険)を受給していない人で一定の条件を満たす人に関しては、月額10万円+交通費の支給制度があります。

その条件が以下。

支給要件
  • 本人の収入が月8万円以下
  • 世帯全体の収入が25万円以下
  • 世帯全体の金融資産が300万円以下
  • 現在住んでいるところ以外に土地・建物を所有していない
  • 全ての訓練実施日に出席している ※
  • 世帯の中に同時に給付金を受給して訓練を受けている人がいない
  • 過去3年以内に偽り・不正の行為によって特定給付金の給付を受けたことがない

※やむを得ない場合も8割の出席が必要

上記の支給要件を全て満たしている人は、求職者支援制度によって「職業訓練受講給付金」が支給されます。該当する人はぜひハローワークで確認のうえ受給しましょう。

職業訓練ではWEBデザインやプログラミングにはなれない!?

ここまで職業訓練のWEBデザインやプログラミングのコース(科)について説明してきましたが、ここで一つ頭に入れておいていただきたい、大切なお話しをしたいと思います。

実は職業訓練を受けたからといって、WEBデザイナーやプログラマー、またシステムエンジニア、HTMLコーダー等々としてIT業界に就職できるとは限らないのです!

職業訓練を受ければ、スキルが習得でき資格取得もできるから就職確実だと勘違いしている人もいるようなので、ここでその難しさについても触れておきたいと思います。

訓練後にIT系の職種に就職できるのはごく一部

まず訓練後にIT系の企業に就職できるケースは一握りだということを覚えておきましょう。

もちろん訓練後も地道な求職活動を続け、かなりの時間をかけて何とかIT業界に転職できたという人もいるでしょう。ですが、なかなか採用がもらえず結局別の業界に就職する人も多いのです。

その要因に「若手を好むIT企業が多い」「経験者(即戦力)を求めるIT企業が多い」ということがあります。

IT業界というのは特に変化が激しく、常に新しいことを求められる業界なので、やはり若手を欲しがる傾向にあります。

またIT業界は人の入れ替わりも激しいと言われるので、結局のところ即戦力が求められます。

職業訓練でスキルを身につけたといっても、所詮それは基礎知識で実践を積んできた経験者とは違います。

そういった理由から、就職が難しいケースも少なくないのです。

途中で挫折してしまう人もいる

未経験の人にとってWEBデザインやプログラミングといったIT系の訓練は、そんなに簡単なものではありません。

数々の初めて見る専門用語が出てきたり、HTML、CSS、Javascript、PHP…と、それぞれ基本構造が異なり、人によっては大きな苦手意識が芽生えてしまうことも。

実際に途中で訓練を挫折してしまう人も多く、だんだんと人数が減ることに不安を覚えるといったこともあるようですね。

就職できたとしてもブラック企業な可能性もあり

もし職業訓練を終え、無事にIT業界に就職できたとしても、その企業がブラックだったというケースも多々あります。

せっかく就職したのに、残業や休日出勤が多すぎてプライベートの時間がほとんど確保できない、有給が取れない、昇給しない…などの不満から、結局別の業界に転職する人もいるようです。

もちろんホワイトな企業もたくさんありますが、そこを見極めるのがとても大切。今は大手企業ならホワイトで、中小企業はブラックが多いという時代ではありません。これは求職活動全般に言えることですが、しっかりと企業研究をして自分が長く働ける組織なのかを見極めるようにしましょう。

職業訓練のWEBデザイン・プログラミングのコースに向く人

職業訓練のWEBデザインやプログラミングのコース(科)に向いているのは、こんな人です。

情報関係(IT系)の職業訓練に向く人
  • 20代の人
  • ITに関する勉強が好きな人
  • 戦略を考えるのが好きな人(理論派の人)
  • 自発的に行動できる人
  • 長時間の地道な作業に打ち込める人
  • 人とコミュニケーションが取れる人
  • 就職してからが本当の勉強だという意識がある人
  • 特定の職種にこだわらず、ITスキルを高め就職を有利にしたい人

まず20代と年齢が低いことは大前提として考えてもいいでしょう。訓練の対象年齢が「おおむね30歳以下」となっていることも多く、やはり年を取るごとに新たに覚えるのは難しくなります。

あとは書店などに出向いてみて、実際にWEBデザインやプログラミングといったIT関連の書籍などを手に取ってみましょう。見た瞬間「ムリだ…」と思ってしまうようでは、長期の訓練は辛いと思います。

そして意外かもしれませんが、実はコミュニケーション能力も大切。訓練中にグループで学ぶこともありますし、実際に就職したあとも仲間同士のコミュニケーションは必須です。

もうひとつ大切なのが、就職してからが本当の勉強だという意識を持っている人。訓練を受けただけでIT業界に就職してもわからないことだらけだと思います。「教えてもらう」という意識ではなく、とにかく積極的に自分から勉強するという意識がないと、その先が続きません。

また職業訓練を受けている人の中には、「絶対にプログラマーになりたい!」など、職種に固執してしまっている人もいるようですが、それだと就職は難しくなってきます。IT業界であれば仕事を選ばずに求職活動をしてみる。それくらいの気持ちがないと、なかなか難しいと思います。

育成制度のある企業に応募するのも近道!

就職活動のために情報関係(IT系)職業訓練を受講することも悪くはありませんが、申し込み期間が限定されているうえ、訓練終了後にIT業界に就職できる確率もそれほど高くないので、正直効率的ではありません

効率面を考えたとき、一つの方法として育成制度を導入している企業に応募してみるというのも、就職の近道になります。

いろいろな体制の企業がありますが、例えば1~3ヶ月程度の研修を受けることでITの専門的なスキルを身につけ、そのまま技術者として仕事をしていく。こんな体制を取っている企業もあります。

こういった企業のメリットは、訓練と就職がセットになっていること。せっかくスキルを身につけたのに、就職活動がうまくいかずなかなか就職できない、といった問題が回避できるのです。

成長中の企業であれば、割とコンスタントに人員を採用しているので、そういった企業をあたってみるのも良いと思いますよ。

このページのまとめ

職業訓練のWEBデザインやプログラミングのコースについて説明してきました。

コース(科)によって無料・有料がことなりますが、スキルを身につけることで求職活動が有利になるのであれば、受けるメリットは大きいですね。

ただ本ページで紹介したように、受講したからといって必ずIT業界に就職ができるというわけではないのです。この落とし穴に気づかず受講スタートするのは危険。

もちろん頑張り次第でIT業界への転職も十分可能ですから、頑張ってみるの一つの選択肢。生半可な気持ちで受けるべきでないのは明白です。